【山 名】徳倉山,鷲頭山,大平山
【年月日】2001年3月3日(土)
【同行者】会社の山仲間など 総勢14名
【行 程】香貫台⇔徳倉山⇔志下山⇔鷲頭山⇔大平山

【徳倉山、鷲頭山、大平山】沼津アルプス


鷲頭山々頂

 伊豆半島の西側の付け根あたり,海岸線沿いに連なる山々を沼津アルプスと呼ぶそうだ.最高峰の鷲頭山でも標高は400mに満たない低山ではあるが,駿河湾や富士山の展望が素晴らしいと,大評判のコースである.

 香貫台入口バス停向かいの住宅団地へ上る道の路肩に駐車することにした.少々気は引けたが道幅はたっぷりとある.身支度を整え出発するが思ったより寒い.数分で丘の上の住宅団地に出る.左に折れ住宅地をしばらく行くと,左手に見落としそうなほど小さな道標がある.

 道標に従い左に曲がろうとしたその時,小型犬(マルチーズ?)を連れた婦人に出会う.その角地のお宅の方のようだ.14名の集団にビックリしたのか,犬は一目散に逃げ帰り濡れ縁に座り込んでしまった.家人がいくら呼んでも動こうとしない.迷惑そうな顔でわれわれを見送っていた.
 その民家の玄関前からいきなり登山道となる.登りはじめて間もなくして振り返ると,街並みの向こうに海が見える.

徳倉山頂より沼津市街と駿河湾を望む

ウバメガシの尾根道

 道がぬかるんでいて少々歩きにくかったが,20分足らずで稜線に出た.徳倉山は別名象山と呼ばれていて,稜線に出た鞍部は,その首に当たる所だそうだ.その鞍部を左に曲がり,竹製の手摺りのついた急坂を5分ほど登ると徳倉山(象の頭)の山頂に着く.頂上は草原で広々としている.富士山は厚い雲に隠れていたがその裾野の先,沼津市街の左に見える海岸線が,引き絞った弓なり状のみごとな曲線美を見せている.

 反対の南側にはこれから行く鷲頭山,大平山が望める(右写真).歩き出して30分ほどでこれほど眺めの良い山頂についたせいか皆,満足そうな顔だ.

アクセスカウンター

 のどを潤し,ほどよくかいた汗を鎮めた後,来た路を鞍部まで戻る.そのまま稜線を南へたどり,その名の通りの「広場」を過ぎ,282m峰(象の背)の右側を巻くように行く.

道は下りに転じ,前方がパッと開ける.正面に鷲頭山,足元からぐんと落ち込んだ先に大海原が広がっている(左写真).下ったところが志下坂峠であり,海は右方1km程しか離れておらず,コース中最も海岸から近いところである.

 登り返すと展望の良いカヤトの原となり,標高214mの志下山山頂につく.行く手には鷲頭山が大きく見え,右手は西伊豆の海岸線,振り返れば富士山(は見えなかった).まことに雰囲気の良いところである.本日は余裕の山登り,だれもザックを下ろさず景色に見とれている.
 頂上に無人販売所があり,「幸せを招く沼津アルプス人形」が十数体置かれていた.沼津市の老人ホーム遊亀園のみなさんが手作りしたものだそうである.料金は「志」となっていた.仲間の何人かが,それぞれ数百円から五百円ほどを料金箱に入れ,人形を手にしていた.

 馬込峠を過ぎると,間もなく鷲頭山直下の志下峠に着く.コースの左に中将宮への道が分岐している.本日は余裕の山歩き,寄らない手はない.5分ほどで中将岩と赤ペンキで書かれた大岩に着いた.その洞窟には平清盛の五男,平重衡が隠れ住んでいたそうだ.
 大岩の上から時折,水滴が落ちているのに気づき,「花摘みに行ったO.I.さんの雫じゃないだろうか?」と誰かが真顔で言ったちょうどその時,「頂上に着くのじゃないかと思うほど登ってしまった」と言いながらO.I.さんが戻ってきたので,皆で大笑いする.本人は????.

 志下峠まで戻り,鷲頭山を目指す.大変な急斜面である.連続してロープが張られている.とても標高400mに満たない山登りとは思えない.さすがアルプスと命名されただけある.皆から,余裕の表情はすっかり消え,真剣な顔つきになる.
 眺めの良い小鷲頭山で一息入れ,もうひと登りで鷲頭山々頂に着いた.山頂は広く明るい草原で,石の祠が建っている.数十人のハイカーが休んでいた.ゆっくりと昼食をとる.本日の予定はここまで,後は車を停めた所まで来た道を引き返すだけだ.

 しばらくしてリーダーが「元気な人は大平山まで行って来て下さい」と皆に伝える.20代は4人全員,30,40,50代各1人の計7名が大平山までのピストンに参加する.鷲頭山からは次々登ってくる人を避けながらの急坂下りとなる.

 多比峠で右手の道に折れるとすぐに尾根上に飛び出す.くねくねと奇妙な形をしたウバメガシが密生しており,その間をすり抜けるようにして通過する.岩混じりのやせ尾根の上り下りを何度か繰り返して多比口峠につく.多比への下山口だ.
 さらに,少しきつい登りを2,3回繰り返すと樹林の中の小広い大平山の山頂に着いた.皆を待たせているとの思いからか,空身とは云え,鷲頭山から30分足らずで来たことになる.山頂からの展望は無かったが「変化があり,面白かった」と皆,大変満足そうであった.汗が鎮まるのを待ち,来た路を引き返す.しびれを切らしたT.Y.さんが,多比峠付近まで迎えに来ていた.往復1時間足らずで鷲頭山山頂に戻ることができた.

 全員で記念写真を撮り,帰路につく.志下山頂の沼津アルプス人形は全部売れたようだ.象の首で名残の鷲頭山,大平山を見て香貫台口へ下った.

香貫台9:00→鞍部(象の首)→9:30徳倉山9:45→鞍部→10:20志下山10:25→10:45中将岩11:00→小鷲頭山→11:25鷲頭山12:10→12:35大平山12:45→13:10鷲頭山13:20→13:55志下山14:00→鞍部(象の首)14:30→14:50香貫台

志下山より鷲津山を望む

参考資料 【分県登山ガイド 静岡県の山】山と渓谷社 1996/8/1 初版
ホームページ 沼津アルプス 沼津アルプスの全てが分かる、沼津市のHP
更新:2013/03/14